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平成17年7月2日 -No.31/2-
私の実家は山間に田を持っています。脇を小さな川が流れていて、田の両側にはなだらかな山が迫っています。山、田、川、そして山。川は一段低く流れ、雑木に埋もれています。小さい頃は、田で働く両親を待ちながら、その川に入って川遊びをしました。石を集めて溜まりを作ったり、堰き止めたり、サワガニを探したり。生き物は捕まえても家で飼うわけではなく、川辺に作った小さな池の住人になってもらうのです。帰る頃には手足を無数の薮蚊に刺され、痛痒くなっていました。指の指紋も石で磨り減って、指先が赤くなって痛い思いをしたものです。
子供の頃はその「今」を生きていました。後でしなければならないこと、体が痛くなることなど、何にも考えずに遊びに集中していました。でも、いつからか、後の予定を考えて、力や集中をセーブする要領のよさを身につけました。将来の出来事を予測し、備えるのがオトナとも言えるけれど。
両親も歳をとり、山間の田は維持できなくなり、来年から人手に渡ります。
平成17年7月9日 -No.32/2-
No. 26-27/2の前書きで、研究開発型企業の経営戦略について愚痴りました。そんな意識でネットをさまよっていたのですが、MOT (Management of Technology：技術経営)を見つけました。MOTは80年代に米国で始まった、研究開発、技術開発において必要な専門的経営能力向上を目指す教育プログラムです。平たく言うと、技術系の人を企業のトップ経営者や起業家に育て上げるためのプログラムです。今ではMOTは製造業を中心にイノベーションを加速し、技術を事業に結びつけ、企業や国家の競争力を向上させようという活動全般をさす概念としても用いられます。
MOT自体はちょっと前にブームがあったので知ってはいました。今回、私が見つけたのは、とっつきにくかったMOTの基礎を教えるネットサービスで、経済産業省の事業として提供されたMOTプラットフォーム(https://www.mot.gr.jp/index.php)です。やさしくポイントを教えてくれるので、ちょっとはまっています。勉強した内容はメルマガに影響してくるはず。メルマガもステップアップするでしょうか？
平成17年7月16日 -No.33/2-
人生も半ばになると、素直になってきます。まず、嘘をつかない。そして失敗を隠さない。若いときは肩肘を張って、誤魔化したり、判らないだろうと放置したり、不満があっても口にしなかったりしました。日常生活で正直な態度をとるほうが楽であると少しずつ学習してきたと思います。失敗を隠さないことは若いときから学びます。その次に、人が見ていなくても、評価されなくとも、文句を言われながらも、きちんと物事を処理すること、筋を通すことを学びます。でも、不満を隠さないことは、なかなかテクニックも必要です。上司とぶつかることも多いし、部下の不興を買うことも多いですが、でも結局、誤魔化さない方が気楽です。後腐れがありません。堂々と活動でき、そのため、周りの信頼も増すようです。
不満を隠さないでいられるテクニックとは？ とりあえずの作業仮説を申し上げましょう。基本は相手の立場を思いやることです。え、これでは不満をぶつけられない？
平成17年7月23日 -No.34/2-
どこぞの教育に関する掲示板で、家内がスポーツエリートたちは４〜６月生まれが多いという情報を仕入れてきました。本当にそうかな？ 本人も疑問のようです。小さいときは４〜６月生まれは１〜３月生まれにくらべて体が発達しているので、先生やスポーツ指導者から目をかけられ、適切な指導を受けて、技能が上達する。上達すれば、さらに先生や指導者から目をかけられる。この繰返しでエリートとなるのだという説です。
この話にはすぐに反論が寄せられたそうです。もっともらしい説明がついていますが、科学的に解釈させてもらえれば、まず、統計学的に有意差があるのか、という問題。サンプリングがランダムだったのか？ 仮説を述べる方も反論する方も原典となる調査結果を引用し、調査に用いられた手法の正統性を議論しなければならない。
世の中にこの例のようないい加減な、非科学的な議論、仮説がいかに流通していることか。家内と二人で嘆かわしいと批判しました。しかし、このメルマガでは原典を示さなくてもよいのか？ 原典はたくさんありすぎて、そんなことをしたら趣味の範囲を超えてしまうので、やってません（言い訳）。
来週は夏休みです。次は８月６日の配信です。
平成17年8月6日 -No.35/2-
愛・地球博に行ってきました。三井・東芝館では参加者の顔の立体像をスキャンしてグランオデッセイというアニメに登場させるという画期的な技術でしたが、なんか、似ていない。というか、はっきりとこの顔は誰と言い切ることができない。登場人物の顔が同じように見えてしまうのでした。我々の顔の認識は単なるデスマスクではなく、感情の変化や視線、ちょっとした表情筋の動きの癖まで区別して、認識しているのでしょう。将来、自分が主演するアニメなり、映画を楽しめるようになるでしょうか。やくざ映画を見た後は、なりきり気分で肩を怒らせて歩く人が多いといいます。それ以上に感情移入できる映画に発展することは間違いなし。そのほか、名前や写真など、個人的な情報をコンピュータで処理して、表示または音声で届けるなど、参加者の親近感を増す演出が今回の万博の特徴でした。
平成17年8月13日 -No.36/2-
今年のヒロシマの夏の報道に、世界各地でノー・モア・ヒロシマ集会やデモが開催されたとありました。昨年までは報道されたでしょうか？ 世界中で核兵器に対する反対勢力が強くなることは好ましいことです。何より、無駄なものを作らずに済みます。ただ、各国家が核兵器を完全に廃棄することを目標とするだけでは足りません。技術の進歩により、原子爆弾は比較的簡単に製造できるようになりました。大きなテロ組織や犯罪組織などが核兵器を作れないように監視する仕組みが必要です。
日本も積極的に外交に核兵器廃止を利用したらどうでしょうか。核兵器を保有する国には経済援助は行わないとか、一定規模以上の経済援助をする場合は核兵器を保有もしくは開発を行わなっていないという証明をさせる、例えば、日本からの査察団を全面的に受け入れるなど。某国の拉致被害者が見つかるかもしれません。
平成17年8月20日 -No.37/2-
いつの世も世代の違いが喧伝されるものです。団塊の世代と中間の世代、そして団塊ジュニアの3つに分けてみましょう。よく言われるのは生活の豊かさ。育ってきた生活が豊かになるに従い、人生の目的が地位達成タイプから自己実現タイプへと変化します。同時に、「世間に迷惑をかけるな」型(民主主義)から、「己の信念に基づいて行動する」型（自由主義）に変化します。
情報化社会の観点からはどうでしょうか。情報化の進展に伴い、仕事のマニュアル化、目標の明文化が進行してきました。大量に文字を印刷して配布するコストが下がったからです。共通認識からは共通価値観が生まれ、仕事の効率を上げます。さらに、入学、入社の評価も、人事評価も情報開示され、いままで闇の中であった様々な価値判断の過程が明るみに出てきました。情報化社会は隠さない社会です。そこで見えるのは、若い世代ほど、自分の考え方を明確に示すこと。年取った世代ほど曖昧にするか、はっきり言わないこと。若い世代は、上司たる上の世代に対して方針や戦略を明らかにせよと、情報開示を迫ります。そして、その情報開示は決してマイナスでないことを常に主張します。が、上の世代は何とか誤魔化そうとするので（なぜ？）、双方、ストレスが溜まります。
情報化社会以前は情報を握っていた方が得でした。それが権威のように考えられ、上の世代はそれを維持しようと必死なのでしょう。最近では秘匿できる情報は仕事上の戦略など、上司の立場で決定できる情報がほとんどになってしまったので、それを守るのに必死になる？ ただ単に、方針を明文化する訓練を受けていないため、実行しようとも思わないし、また、実行できないのではないでしょうか。
明文化できない分、精神論を振り回すので、また困ります。合理的、論理的に説明できない部分を根性で補おうとする。今、世の中を引っ張る団塊の世代が一番問題なんじゃないかと思ったりします。
今回は愚痴になってしまいましたか。
平成17年8月27日 -No.38/2-
今年の夏休みは伊勢の海で「たてぼし」を体験。たてぼしとは建干網漁のことで、地方によって呼び名が違うようです。遠浅の海岸で、満潮時に網を張り巡らせておき、干潮になったときに網の中に取り残された魚を手づかみで捕まえます。ほとんどレジャー化していて、漁師さんたちがトラックで魚を運んできて網の囲いに放します。魚より、人間の方が多いのか？ 魚が放たれる度に待ち構えた人々から歓声が上がります。魚にとっては、ちょっと残酷な光景です。前半は小学生以下の小さな子供からでしたが、保護者として大人も参加し、子供はそっちのけで魚を掴んでいました。後半も魚が追加され、今度は全員でのつかみ取り。ほぼ10分で目ぼしい魚はいなくなりましたが、残った魚は素早くて、とても手づかみできません。捕まえるコツは、魚が来るのを待つこと。暑い日差しの中、子供たちは魚を探し回り、大人の参加
者たちは浅い海の中に座り込んで、おしゃべりしながら魚が来るのをじっと待っていました。
遠浅の海が引くと、広い干潟が出現します。たてぼしはそこそこに、子供たちと干潟を探検。ミズクラゲが逃げ遅れて透明なゼリーになっていました。大きなワタリガニを発見。とても凶暴で挑戦的でした。子供は白い円盤がお気に入り。五角形の模様がある。いくつか持ち帰りました。図鑑で調べたらハスノハカシパンといウニの殻でした。
平成17年9月3日 -No.39/2-
8月もあっという間に過ぎてしまいました。今年の夏はいかがでしたか。去年の夏の定番は風呂上りのカキ氷と麦茶でしたが、今年はジュースやコーヒー牛乳になりました。麦茶はいつも１リットルのジャーを2本回転させて作ります。冷やさずに飲んでいます。
飲料というと、奇異に感じるのはミネラルウオーターです。ミネラルウオーターとは要するに水です。農林水産省や厚生労働省のガイドラインでは水道水をビンに詰めてもミネラルウオーターとして販売できます。特殊なミネラルが入っているわけではありません。イメージ商品ですが、水道水を敬遠する子供たちには何か特殊な、ありがたい水のように感じられるのでしょう。水は飲まないけど、ミネラルウオーターなら飲みます。今では大人もそうでしょうか。
日本では「水と空気はただ」という考え方が普通でした。しかし、環境汚染の影響で、ただとは言えなくなってきました。また、蛇口をひねれば水が使える感覚が当たり前になったために、水をそれこそ湯水のように使う生活になっています。水不足は深刻です。過去にあった「農業用水をめぐって村同士で争う」ような事態も懸念されます。ライフスタイルを考え直さなければならないのでしょうか。
平成17年9月10日 -No.40/2-
修理をするか、新品を買うか。修理金額が大きいときは悩みます。上司はどのくらいの使用頻度なのか、どのくらいコストに貢献しているのか、他のメーカーの製品はないか、修理をできるだけ安くする方法はないか、これらの組合せでコストを削減できないかなど、できるだけ多くの情報を集め、比較検討しろと命じ、修理請求伝票を却下。しかし、現場は1日も速い機械の稼動を望んでいます。新品を買うにはしかるべき手続きを経て許可を得ねばなりません。「もっと安いのがあるはず」の一言さえ、その後の購入申請手続きとかかる日数、その間の不便を考えると現場の気持ちは萎えてしまう。仕事が遅れるのはあんたのせいだぞと毒づきます。現場の思いは切実です。
経営の合理化も良いですが、論理的に正しくても、現場の要求を軽視したのでは長
い眼で見て合理化したことにはなりません。
